
近年、インターネットの普及により音楽データや画像データなどが違法にコピーされていることで、改めて注目を集めている「著作権」。著作権とは、著作物を創作したことにより著作者に発生する権利のことだ。
著作権法の目的は、著作物の公正な利用に留意しつつ、著作者の権利の保護を図り、文化の発展に寄与することにある。つまり、文化の発展という目的を達成するべく、著作物を利用する者の利益と、著作者の利益の調和を目指しているのだ。
ところで、著作権が発生するのはどんな時かご存じだろうか。実は、著作権はその表示や登録などの手続きを必要とせず、著作物を創作することで発生する。著作権を表すための©(マルシーマーク)をよく見かけるが、これがなくとも著作権は発生しているのだ。では、この©はどういう役割があるのだろうか。
かつて、アメリカなどは著作権において登録や申請が必要な「方式主義」を採用しており、日本のように登録などが不要な「無方式主義」に準じる国で創作された著作物は保護されなかった。そこで、©マークと一緒に著作権者の氏名、および最初に著作物が発行された年の3点を表示することで、無方式主義の国で創作された著作物であっても、方式主義の国において保護されることになったのだ。しかし1989年に、アメリカはベルヌ条約(著作権に関する基本条約)に加盟、無方式主義に転換した。現在、多くの国がベルヌ条約に加盟しており、©マークには法的な意味がないと言われている。もともと、無方式主義を採用している国では、©マークは必要ないもの。つまり、マークがないからといって、著作権を放棄したり、権利が発生していないわけではないので注意が必要だ。
著作権を侵害した場合は、著作権者から民事上の請求を受ける。例えば、損害賠償請求(民法709条)、不当利得返還請求(民法703条、704条)、信用回復措置請求(著作権法115条)、差止請求(著作権法112条)などだ。これらの民事上の請求は著作権が財産権であることに基づいている。また、上記した民事上の責任だけでなく、刑事上の制裁も受け得る。
一方で、著作権の侵害について告訴する場合には、その証拠が必要不可欠だ。さらに、著作権を侵害した罪は「親告罪」と呼ばれ、著作権者の告訴がなければ起訴することができない。これは著作権という私権を保護する法の性質から、刑事上の制裁の判断を著作権者に委ねられているためである。しかし、告訴がなくとも、違法行為であることには違いない。もし他者の作品を流用する場合は、著者や発行社の了承を得てから使用するべきだろう。
2009年4月20日に、ネット時代の著作権について文化政策の視点から議論することを目的にした、文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「基本問題小委員会」の第1回会合が開かれた。私的録音録画補償金や、著作権保護期間延長問題、フェアユース規定導入の是非など、著作権法にまつわる未解決の課題の解決に向け、文化論や文化政策などの観点で幅広く議論する。
しかし、実はこの委員会の存在そのものに対して、識者から数多くの問題が指摘されている。特に、今後政府がネット上での著作権について「どのような方向性を目指し」「何をどのようにするために」議論をするのか、指針が全くないことに批判が相次いだ。今後ネット上の著作権問題は、政府や世論を巻き込んだものに発展するに違いない。国はどのようにネット内の指針を打ち出していくのか。それによって、著作権法の今後も変化していくだろう。