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ニッポン人の基礎知識──気になる旬のトピックを解説
QCサークル活動
【きゅーしーさーくるかつどう】
QCはQuality Controlの略。生産現場などの第一線で働く労働者が自主的に少人数の集団を作り、不良品の低減や安全対策を考える取り組みで、日本のものづくりの強さの源泉として欧米からも注目されている。昨今ではサービス残業への社会の視線が厳しくなったことを受け、自主性重視よりも労務管理下での活動として扱う企業が増えている。
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QCサークル活動の歴史は、終戦直後にまでさかのぼる。当時の日本はものづくりにおいての問題点が多く、大量生産の技術力については欧米諸国に大きな遅れをとっていた。その状況を打破すべく、1950年にアメリカは「SQC(Statisitical Quality Control/統計的品質管理)」という手法を日本に紹介したが、専門のスタッフが管理をするという体制は日本人の気質に合わず、良い結果は生み出せなかったという。そこで、この事実を憂えた東京大学の石川教授が「現場第一線で働く人々が、自ら興味を持って品質管理を勉強する方法を」と考え、1962年に「現場とQC」(現在の「QCサークル」誌)という季刊誌を発行。同誌の「現場討論会」という連載企画では、全国のQCサークル活動が紹介された。これが現場で働く人々の品質管理や問題解決に対する熱い意欲を刺激し、全国にQCサークル活動の輪が広まったのである。こうして、全国に広がったQCサークル活動は日本を「ものづくり大国」と言われるまでに成長させ、欧米諸国からも注目を集めて諸外国のものづくり現場においても採り入れられるようになった。

 

QCサークル活動は、現場で働く人間が自主的に集まり、「QC的考え方」と呼ばれる独特なものの見方によって、意見を交換、検討することで現場改善につなげるというもの。その「QC的考え方」の基準となるものの一つが、「データ」だ。改善点を見つけるためには現状を把握することを第一とし、収集したデータを基に改善活動につなげていく。たとえば「機械Aで作業すると疲れる」「機械Aで作業するとミスが増える」と複数の人が訴えたとする。すると、そのデータに共通する機械Aに何らかの原因があるのではないかと推察され、機械Aと他の機械との違いを検証していくことで問題点を見つけていくのだ。そしてプロセスを重ねながらより作業効率が良く、質の高い製品を作れる環境を築いていくのである。こうした活動は、作業効率の向上だけでなく、人材の能力アップにもつながる。それぞれが自主的に作業の効率について考えることで責任感が高まり、業務を改善するための様々な考え方や方法が身につくからである。そしてこれこそが、QCサークル活動最大の利点なのだ。

 

しかし、昨今そのQCサークル活動の在り方が様変わりしてきている。「カイゼン」という名で長年QCサークル活動を行ってきたトヨタ自動車は、これまでに自主的な活動として実施していた同活動を2008年6月からは業務の一環として位置付け、残業代を支払うことを決定した。他にも、日本でQCサークル活動を行っている主な事業所44社のうち34社が同活動を「業務」、「業務に準じる」と位置付けており、これまで業務外だったQCサークル活動が業務に組み込まれつつあるのだ。その主な理由には、サービス残業などに向けられる社会の目が厳しくなったこと、そして現場で働く労働者たちの意識が変わってきたことが挙げられる。価値観が多様化する中でいわゆる「仕事人間」が減り、プライベートな時間を大切にする若者が増えたことで、従来のQCサークル活動が受け入れられにくくなったのである。それに伴い、企業側にも残業代の支払いやQCサークル活動を就業時間内に組み込むなどの対応が求められるようになっている。企業側がそこまでしても同活動を促しているのは、もたらすメリットが大きいからこそだろう。「自主的」という本来の在り方は形骸化しているが、現場の人間が意見を交わし、さらなる高みを目指す──その取り組みがあるからこそ、ニッポンのものづくりは成長を続けてきたのだ。

 

昨今、「ものづくり大国ニッポン」の勢いは停滞ぎみである。40年以上前に日本で生まれ、我が国のものづくりを支えてきたQCサークル活動をもう一度見直し、今後もその「改善」の精神を大切に業務にあたることが、再度「ものづくり大国ニッポン」の名を世界に轟かせるための近道なのではないだろうか。

 

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