
AED
【Automated External Defibrillator】
1年間に、病院以外の場所で突発的に発生する心停止は約2〜3万件にも及ぶという。そのような事態が起きた際に活躍するのがAEDである。これはハートに稲妻の入ったマークが目印の小型救命機器で、心臓麻痺を起こして倒れた人に電気ショックを与え、救助活動を行うもの。事故や急な病気などで倒れた人は、心室細動という不整脈によって心臓が痙攣し、一般的に心臓麻痺と呼ばれる状態に陥ることがある。この心室細動を起こすと、1分経過するごとに約10%ずつ救命率が下がると言われるが、救急車が現場に到着するまでの所要時間は平均6分。その上、救急隊員が除細動を開始するまでとなれば約11分もかかる。だからこそ一般の人々がAEDを使って迅速な救命活動を行うことにより救える命が増えると期待されているのだ。
とは言え、「いきなりAEDを使えるか」と不安がる人も多い。だがAEDは、電源を入れれば音声ガイダンスが流れるし、誰でも簡単に使用できる仕組みになっている。それに電気ショックを与える必要がない場合は電流が流れなくなっているので、間違って用いることなく安心して使うことができる。
では、使用方法を見ていこう。
(1)まず倒れた人が金属製のものを身につけていないかを確かめる。ペースメーカーがあればそこは避け、電極パッドを貼る箇所(胸の辺り)の水分を除去。
(2)電気ショックが必要な場合は、倒れている人に誰も触れていないことを確認した上でボタンを押して電流を流す。
(3)パッドは貼ったままにし、心臓マッサージを再開する。再度電気ショックが必要な場合はAEDが再び判断し、音声による指示がある。
(4)意識が戻ったときは倒れている人の身体を横にして救急車の到着を待つ。その際、パッドは貼ったままにしておく。
さらにAEDの特徴は、子どもにも使用できることである。心臓麻痺は年齢や健康状態に関係なく、クラブ活動のようなスポーツ中に起こることもあるため、学校などでの普及も進んでいる。過去にも、一人の高校球児が左胸に打球を受け心停止を起こしたが、球場にAEDが設置されていたため一命を取り留めた例もあるのだ。
そして、妊婦に使えることも特筆すべき点である。妊婦の場合、心肺停止状態が続けば胎児への酸素供給も滞っていると考えられる。そのため、母親を早急に蘇生させるための処置こそが、母子双方の命を救うことにつながるのだ。電気ショックと聞くと、お腹に胎児がいることを危惧して使用をためらってしまうかもしれないが、AEDはかなり高い安全性を誇っているので素人でも2つの命を救うことができるのである。
そんな高機能を誇るAEDだが、あくまでも器械の一つであり万能ではない。現場で命を救うためには、AEDとともに周囲の人々の協力が必要だ。特に大事なのがBasic Life Support(一次救命)と呼ばれる一連の救命処置。AEDを行おうとしている人に任せるだけではなく、声をかけたり、反応がなければ救急車を呼んだり、さらに周囲の助けを借りるなどしなければならない。その際は、AED効果を高めるためにも心臓マッサージも行ってほしい。的確な心臓マッサージは心臓細胞の動きを活発にし、AEDの効きを良くするため、非常に重要だ。心臓マッサージは1分間に約100回のペースで行うのが効果的と言われているので、圧迫する箇所がずれないように注意しながら行ってほしい。
突如として心臓麻痺に襲われる人が、いつ現れるかは分からない。だからこそ、せめて毎日の通学・通勤経路や、よく利用する施設内だけでも、普段は「何気なく目にしている」設置場所を把握しておきたい。そして救急の際には周囲の人々と協力し、是非とも役立ててほしい。