
進化するケータイ──
多機能化の果てにある未来
今や生活必需品と言っても過言ではないほど、現代人のコミュニケーションツールとして浸透している携帯電話。2008年7月11日に、日本を含め計21カ国で発売された米国アップル社のiPhone 3Gは、わずか3日で全世界での合計販売台数が100万台を突破したという。
携帯電話はこれまでの電化製品の進歩に比べると目覚ましい速さで発展を遂げ、2000年を境に爆発的に普及した。市場拡大と技術革新の相乗効果が加速させたとも言えるだろう。10年前には予想も付かなかった多機能ぶりで、もはや携帯電話は「ケータイ」という新たなツールへと進化を遂げている。
現在は一旦落ち着いたかに見えるケータイの技術革新だが、まだまだ次世代の可能性を秘めているという。では、さらなる「多機能化」の向かう先には一体何が待ちかまえているのだろうか。
まず「ユビキタス化」の可能性を挙げてみよう。ケータイを含めたマルチメディア機器全体が目指すユビキタスとは、身の回りのあらゆる場所にあるコンピューターや情報機器が、相互に連携して機能するネットワーク環境や情報環境のことを指す。世界的に実現すれば、いつ・いかなる場所にいても同じ質・量の情報のやり取りが可能になり、地球がぐっと小さくなる。
身近な例を挙げると、いつも利用している電車が遅延している場合、近くにある端末がこちらのケータイを察知し、その情報・状況と最短時間で目的地に着くルートを自動的にケータイに送信してくれるようになるのだ。
そして、ユビキタス化の次に考えられるのが「ID化」である。あらかじめケータイに登録した規定の個人情報と携帯電話会社の契約情報を照合することで持ち主を判別し、クレジットカード並の信頼性が得られると考えられる。一足早くケータイのID化が進んでいる韓国では、2002年からケータイにクレジット情報を格納したモバイルクレジットサービスが実用化されており、日本でも携帯電話会社のおサイフケータイ®サービスをはじめ、一部のクレジットカード会社でもケータイを利用した同様のサービスを行っている。
将来的にはクレジット機能だけでなく、家や自動車などの鍵として、パスポートや運転免許証といった既存の「身分証明書」としての役割を担うようになるかもしれない。
実現すれば大変便利な世の中になるであろうケータイのユビキタス化・ID化だが、大きな問題となるのがセキュリティ面である。極めて個人的な「情報」を一つにまとめる便利さは、同時に新たなハイテク犯罪を生む可能性をはらむ。機能を集約させればさせるほど、盗難・紛失などによる被害は甚大だ。そして、通信回線の高速化など技術的な問題に加えて、現在よりもより厳重に個人情報を守る必要がある。トラブルや混乱にも適切に対応できるよう、利用する側のメディアリテラシーが重要だ。
そうした課題が多すぎて現実的と言えないのが現状なのである。また、「電話は電話らしく」電話機能のみに特化させ、その他の機能は別のツールを用いるべきとの原点回帰を唱える意見もあり、情報機器全体が進化の途中にある現在では、まだまだ先は見えない。