
渡嘉敷 はじめに、社長の歩みから。
坪井 学生時代のアルバイト経験から、仕事をしながらでも季節を感じられる職に就きたいと考えていました。子どものころから絵や算数が得意だったので、自然と大工のような仕事が思い浮かび、建築の分野に進もうと決めたのです。大学の建築学科を卒業し、岡山市内にある設計・施工を請け負う企業に就職し、そこで30年間勤めました。
渡嘉敷 ずいぶん長くお勤めだったのですね。なぜ独立しようと?
坪井 こういった仕事は独立志向の高い人が多いのでね。私も例外ではなく、企業に席を置いての仕事に徐々に限界を感じるようになったのです。今が最後のチャンスと思い、52歳で初めて辞表というものを書きましたよ。
渡嘉敷 独立されてみていかがですか。
坪井 準備期間がほとんどなく、しばらくは会社設立の際の保険や事務手続きなどに奔走しました。また前勤務先に迷惑をかけないよう、取引のあったお客様は後任の者に引き継ぎ、残っていただくようにしました。それでもなお独立した私に、と言ってくださる方からの仕事はお請けしています。現在はそういったお客様からの発注を含めて毎日忙しくさせていただいていますが、今後はさらに新規のお客様の開拓が重要になってきます。
渡嘉敷 なるほど。では、このお仕事の魅力とはいったい何でしょう。
坪井 何といっても形が残ることです。「この仕事で儲かった、損をした」ということではなく、建物一つひとつが作品として形に残るのですから。また、出来上がった時にお客様から「ありがとう」とのお言葉をいただくことは大きな喜びですね。
渡嘉敷 では、今後はどういったお仕事を手掛けていきたいとお考えですか。
坪井 私は商業施設の設計を得意としており、多くの方が訪れてくださるような心地よい空間づくりを意識して設計に臨んでいます。住宅設計では、岡山らしい季節を感じられる家づくりをしていきたいですね。家は買うものではなく、つくるものですので、お客様の側に立って家づくりをお手伝いさせていただきたいと思っています。今まで私が手掛けてきた仕事ではクレームがない、というのが自慢でもあり、施主様とはその後も友達感覚で遊びに伺えるほどのお付き合いをさせていただいているのですよ。
渡嘉敷 お客様との揺るぎない信頼関係を築かれているのですね。それでは最後に、今後の展望を。

▲後継ぎとして勉強中のご子息
坪井 私の中のイメージでは店舗は「一年草」、住宅は「木」なのです。店舗は改装などで何年か経てば新しいものに変わっていき、住宅は長年人が住むことで育っていきます。木も育てるし、一年草も植える。どちらにも携われることが新鮮でとても楽しいですね。また、息子が私の仕事を継ぎたいと、今当社で勉強中です。CADでの図面作成から始めさせていますが、将来的には一緒に岡山の町づくりに携わっていきたいですね。