
歯科医師・歯学博士
■ホスピタリティーを重視した信頼の歯科医院
東京医科歯科大学歯学部附属病院で経験を積み、今年6月に開業した初野院長。着実に地域に浸透しており、その要因は「自分一人だけの力ではない」と院長は語る。「サポートしてくれるスタッフがいるからこそ、治療に専念できる。スタッフとの連携があってこそ、患者さんに満足していただけるんです」。院長を含めスタッフ全員が「患者さんの役に立ちたい」という思いを共有しており、それが『はつの歯科医院』が地域から信頼されている理由なのだ。
佐藤 歯科医師になられた経緯から。
初野 内科医として活躍する父の背中を見て育ち、迷わず医療の道を目指しました。大学では歯学部で学び、東京医科歯科大学大学院・医歯学総合研究科にて顎顔面補綴学分野を修了後、同大学の所属病院に勤務。私が専攻していた分野の第一人者である教授のもとで、主に手術後の口腔がん患者や口唇裂口蓋裂患者の補綴治療をメインに携わっていました。
佐藤 開業を考えたのはいつごろで?
初野 実は、教授に大変お世話になっていたことから、ずっと大学病院で働こうと考えていたんです。けれど、地元・埼玉で内科医をしていた父が大病を患いましてね。独り立ちした姿を父に見てもらいたいという思いが強くなり、悩んだ末、開業医になることを決意したのです。
佐藤 お父様も喜んでおられることでしょう。実は、私の父も大阪で歯科医をしていましてね。「歯医者には、痛くなってからではなく、痛くなる前に行かないと」とよく言っていましたよ。

初野 そうですね。自覚症状がないとなかなか病院に足を運びにくいとは思いますが、日頃のケアをしっかり行うことが、口腔内、および体全体の健康維持管理には欠かせないことなんですよ。体を一つのトンネルに例えるなら、口は入口なんです。この入口が健康でなければ、出口も、そして出口に至るまでにも影響を及ぼします。私は、そのことを口腔がん治療に専念していた勤務時代に痛感しましてね。独立を決意したのも、「口腔内の健康を守ることで、地域医療に大きく貢献できるはずだ」という思いがあったからなんです。
佐藤 なるほど。父も「“噛むこと”は“食べること”であり、噛めないと人は生きていけない──歯科医師は、人間の本能である“食べること”を助ける仕事である」と、仕事に誇りを持っていました。
初野 おっしゃる通りだと思います。それに、「噛む」だけでなく、「飲み込む」「話す」ことも口腔内が健康でなければできません。それは入れ歯にしても同様で、自分の口に合っていなければ、食事はおいしくいただけないもの。私は患者さんに最適な治療を行いたいという思いから、勤務時代の経験を活かし、義歯の作成を行うこともあります。歯科技工士の方に依頼する際も、特に複雑な症例の場合は診察に立ち会ってもらうようにしているのですよ。やはり、ペーパーだけでは伝わらないことは大いにありますから。また、自然な仕上がりになるよう、写真を撮影するなどして色味のチェックも行っています。
佐藤 症状をきちんと把握した上で義歯を作成してもらえると、患者さんもより安心できることでしょう。
初野 限られた治療時間内で、患者さんに満足していただける効果を得るために、当院では治療を開始する前に必ず説明・診断を行っているんです。その際には患者さんのプライバシー保護のため、完全個室の診療室を使用しており、隣の会話や診療の音がもれない設計になっていますから、患者さんには安心して診察を受けてもらえるのですよ。そして完全個室にすることで、我々医師も一人の患者さんに集中して説明・治療できるようになっています。また、先ほどもお話にありましたが、口腔内の健康を保つためには、日ごろからのケアが効果的なんです。そこで当院では、デンタルエステルームを設けており、専門の歯科衛生士がホワイトニングや清掃など、口腔内のケア・メンテナンスを行っています。口元のメンテナンスが出来ていると、心からの笑顔が生まれると思いますよ。
佐藤 受付は吹き抜けになっていたりと、歯科医院とは思えないほど、素敵な内装ですよね。
初野 ありがとうございます。壁には漆喰塗り壁を用い、アレルギー対策も万全です。もちろん、歯科設備に関しても、最新のデジタルCTを導入するなどして口腔内疾患の早期発見に努めています。
佐藤 充実した設備も、こちらの特徴なのですね。

初野 ただ設備が揃っているだけでは十分ではありません。やはり重要なのは人間関係です。当院ではHospitality=親切、Delight=大きな喜び、Confidence=信頼の三つを理念に掲げていましてね。来院される患者さんに親切な対応を行い、治療を通じて噛める喜び、しゃべられる喜びを提供したい。そして、信頼関係を築きながら、生涯にわたって口腔内の健康を維持するお手伝いをしたいと考えているんです。その信念はスタッフ全員と共有しており、自ら進んで仕事にあたってくれています。スタッフが生き生きと働いてくれていることも、患者さんの安心感につながっているようです。サポートしてくれるスタッフがいるから、私は治療に専念できる──これからも同じ目標に向かって進むスタッフと共に、地域医療に貢献していく構えです。

▼「口というのは体の入口。人生の楽しみのうち、“食べる、しゃべる、飲む”ことにはすべて口の中の歯や舌が関係しています。当院では、その喜びを患者様に感じていただける治療を行っています」と語る初野院長。人生の楽しみをサポートするためにも、地域医療に貢献することを自らの使命としている。
▼また、院長は2008年6月にオープンしたばかりの『はつの歯科医院』を、末永く運営していくことを目標にすると共に、今後の地域医療を担う後進の育成にも力を入れていく構えだ。大学病院での勤務時代も多くの後輩を育ててきたという院長は、大学と連携し、研修生を受け入れるなどして、現場の技術を体験してもらいたいと考えている。「同じ疾患でも、患者さんの数だけ治療方法はあります。それは教科書には載っておらず、患者さんとのコミュニケーションの中から見つけ出すもの。そのノウハウを、当院で学んでほしいですね」。同院の存在が、地域医療の将来を明るく照らしていると言っても過言ではない。