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生き残りをかけた発想の転換で |
| 新たなビジネスモデルを構築 |
渡辺 まずは社長の歩みから。
西尾 学業修了後は商社に就職したのですが、その翌年の平成4年2月に当時代表を務めていた私の父が急逝したのです。そのため母が代表職を引き継ぎ、私も家業に入って専務に就任しました。そして母が還暦を迎えた平成12年、西暦2000年とちょうど良い区切りでしたので私が現職に就任し、株式会社化を果たした次第です。
渡辺 それでは、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。
西尾 ガラスや鏡を加工し、それを店舗などに設置する施工業務までを手掛けています。ガラスというと窓ガラスや車のガラスを想像される方が多いと思いますが、当社ではインテリアとして用いられるガラスや鏡をメインに取り扱っているのですよ。ですから、お客様には商業施設の中にあるテナントやブランドショップ、ホテル、レストランなどを手掛ける取引先が多く、あくまで建築物の中での内装部分に携わっています。
渡辺 代替わりをされて、新たに取り組んでおられることはありますか?
西尾 創業当初から培われてきた伝統の技術と魂を守りつつ、時代に即した営業展開へと切り替えています。というのも、私が家業に入ったころはバブルが崩壊してあらゆる業界が厳しい状況に陥っていた時代でした。仕事量は少なく、海外からの安価な製品にも押される中で生き残っていくためには、視点を変える必要があったのです。たとえば、中間マージンをなくすために元請さんと直接関係を築くようにしたのも、その1つ。また、製品をただ納めるだけではなく、取り付けまで行って付加価値を高めたり、今まで接点がなかったデザイナーさんや経営者の方々の意見も積極的に採り入れたりするなど、世の中のニーズや時代のトレンドを反映するようにしてきました。
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手作業の大変さを知ってこそ |
| 仕事に深みが出る |
渡辺 現在、様々な業界で機械化が進み、伝統の技が失われつつありますが、こちらの業界ではいかがでしょうか?
西尾 ガラス加工業界にも機械化の波は押し寄せていますし、ガラス屋さんであるにもかかわらずガラスを手で加工できない職人も増えていますね。また、地方の工場などでは、オートメーション化によって人の手を全く介さずに製品ができあがるところもあるのですよ。確かに、「スピード」・「効率」という時代の流れに乗るためには、効率的に作業を進められる機械の技術も必要不可欠です。しかしその中でも、あくまで機械は道具の1つに過ぎず、作業効率をアップするための手段であることを理解していなければならないと思います。
渡辺 それは一体何故でしょう?
西尾 手作業でガラスを加工する大変さを味わっていなければ機械のありがたみも分からず、仕事に深みが出ないのですよ。手で加工する感覚を身に付け、一つひとつに誠心誠意を込められるようになってはじめて、「これはどういう風に使われているのか」「こういう部分に気を付けよう」といった配慮ができるようになり、より良い製品を生産することができるのです。
渡辺 言い換えれば、機械に頼りすぎて職人としての心を忘れてはいけないということですね。このお仕事をされていて良かったと思われるときは?
西尾 様々なシーンで当社の製品が使われているのを見たときです。たとえば、世界的な有名ブランドが我々の製造したショーケースやショーウインドウを評価して下さり、店舗で採用してくれています。その中に最高級のアクセサリーやドレスが収められているのを見たときは心底嬉しくなりますね。そこには『西尾硝子鏡工業所』の名前こそ出ませんが、それに携わったことをとても誇りに思います。そして、自分たちが手掛けた製品が何年もお客様に使用し続けて頂ければ、これ以上嬉しいことはありません。
渡辺 逆に、大変なことは何ですか?
西尾 ご要望に添った空間作りができるように技術を磨き続けなければならないことですね。特に、近年では加工の際に機械を用いることが増えてきていますので、それに対応できるだけの技術力や知識が必要となっていますから。
渡辺 最後にこれからの展望を。
西尾 自分たちがレストランなどでご飯を食べた後に「ああ、美味しかった。また来よう」と思うのと同じように、お客様に喜ばれる良い仕事をして「また『西尾硝子鏡工業所』さんに頼もう」と言われるような会社になりたい、というのが先代の口癖でした。私自身も、その言葉を幼いころからずっと聞いていましたし、それを実現するために日々研鑽を重ねています。その思いを今は従業員全員で共有して、とても良い状態ですから、これを新しく入ってきた人たちにも伝えていくことが私の一番の仕事だと考えています。そのためにも、従業員が明るく元気に「『西尾硝子鏡工業所』で働いていて良かった」と言えるような会社にして、一丸となって一つの目標に向かって邁進していきたいですね。そして、いずれは「メイド・イン・西尾」というように、自社製品にブランド価値をつけられるようになりたいと思います。
渡辺 本日はありがとうございました。 |